薬剤師は退職金をもらえるの?
■5社に1社は退職金制度がない
退職金制度は法律では定められていないため、支給の有無や支給額は企業が自由に設定できます。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によると、退職金制度を導入している企業は全体で74.9%、産業別の医療・福祉においては75.5%となり、2割以上の会社で退職金制度がありません。従業員数が少なくなるほど退職金制度がない企業が増えている傾向です。
■薬剤師が退職金制度の有無を確認するには
薬剤師がご自身の勤務先に退職金制度が導入されているかを知る方法としては、「就業規則」で確認することができます。就業規則は社員なら誰でも閲覧できるようになっており、給与や退職金などの賃金・手当についての取り決めも記載されています。
重要なのは、会社の経営状況等によって内容が変更される場合もあることで、就業規則の変更があった際はよく確認しておきましょう。
(参考)令和5年就労条件総合調査 結果の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/dl/gaiyou03.pdf
退職金の金額はどうやって決まるの?
■退職金額は「勤続年数」がポイント
一般的には、給与が高く、勤続年数が長い人の方がより退職金の金額は高くなります。退職金の計算方法は会社によって違いますが、退職時の基本給がベースとなり、勤続年数によって計算される傾向があります。より長く勤務した従業員の方が会社への貢献度が高いと考えるためですが、5年、10年と長く働いていくほど、退職金の有無によってトータルの収入額が変わってくることになります。
また、調剤薬局やドラッグストアなどの薬剤師の職場でも、受給条件を「勤続3年以上」など一定期間の年数を設定していることも多いです。短期間で転職を繰り返していると退職金はほとんどもらえないこともあるので、慎重に考えることをおすすめします。
■退職理由によっても支給額が違う
退職理由は主に、転職・結婚・病気療養など自己都合での退職と、倒産・リストラ・早期退職制度などの会社都合の退職があります。薬剤師は自己都合で転職する人が多いですが、一般的に会社都合の退職の方が支給額は大きくなります。定年退職は、基本的に会社都合退職となります。病気などの休職期間満了の退職などでも支給額が変わることもあります。
退職金が受け取れる時期
退職金は一般的に退職月の給料と一緒に振り込まれることが多く、退職から1~2ヶ月後にもらえる傾向があります。ただ、支払い日についても法律での定めはなく会社によって異なりますので、就業規則等で事前に確認しておきます。
万が一支払い期日を過ぎても退職金が支払われない場合には、何らかの事情により会社の手続きが遅れている可能性もあるので、会社の人事や総務の担当者に確認してみましょう。
薬剤師の職場別の退職金事情
■調剤薬局・ドラッグストアの退職金
調剤薬局やドラッグストアでは、広範囲で店舗展開をしている大手や中堅企業では、基本的に退職金がもらえると考えてよいでしょう。特にドラッグストアは大手企業が中心で、薬剤師以外にもさまざまな従業員を雇っているため、退職金制度が整っている傾向です。経営状況にもよりますが、個人経営の薬局などでは退職金制度がないこともあります。
退職金の金額は企業規模や経営状況による差も出やすいですが、給与や勤続年数の他に、管理薬剤師や店長、エリアマネージャーなどの役職の有無などによっても変わってきます。
■病院の退職金
国公立病院か民間病院かによって相場は異なります。国公立病院の薬剤師は公務員とされるため、退職金も公務員の規定に基づいて支給され、支給額は平均値より高めとなります。
民間病院の場合は、薬局等と同様に経営母体の規模による違いも大きくなります。国公立病院よりは退職金の相場は低い傾向があり、小規模な病院では退職金制度がないこともあります。
転職先選びでは退職金制度の有無も必ずチェック!
次の転職先ではどれくらいの期間働きたいかというキャリアプランによって、退職金の有無の重要度は変わってくると思います。長く勤務していきたいなら、退職金ありの方がトータルの収入金額は高くなりますので、必ず確認しましょう。
転職時には、入社前では就業規則を見ることはできませんが、求人票などに「退職金制度あり」と記載されていることが多いです。記載がない時や分かりにくい時は、面接時には辞める時の話は聞きにくいこともあるでしょうから、転職エージェントを利用していればキャリアアドバイザーに確認してみるといいでしょう。